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想像の旅へ























 “起こらなかった世界についての物語”
は、これまでに想像はされたけれど創造されなかった多くの建築について、またその想像した本人について、1枚のドローイングを頼りに小さな物語を紡ぎ集めた本。
著者ご本人からの紹介で読み始めて、すぐに、これは好きなものを少しずつ切り崩すように味わう食べ物のように、大切に読みたいと思って、この夏じゅうをかけて丁寧に向き合った本。
この本には、大切にしておきたい気持ちが言葉に宿っていて、そしてそれがきちんと静かに揃えてあって、なんだか「ああ、良かったな」って思わずにはいられない魅力が詰まっている。

現実の問題によって建てられなかったものもあれば、はじめから建てることを前提にしないものもある。だけどどちらも等しくこうして語り継がれる魅力があるということは、そこにはっきりとした“想像”があって、目には見えないけれどくっきりと縁取られた形を感じることが出来るから。
ものがつくられるということには、本当にたくさんの物語があるはずなのに、何故私たちはその想像をおろそかにしてしまい、出来上がったものの生産性や経済性に多くの時間と視点を傾けなければならなくなるのだろうか。
身の回りを、そしてまちを、もっと素敵にしたいという志が、私たちを建築に向かわせたのではないだろうか。

現実の葛藤が数多くあることを十分に心得ているにも関わらず、それでもこうした本を創ることに突き進んでいった著者の三浦さんに、私は本を介してもまた多くを学び取っている。
話しているとき、時々「これがまちに(僕らに)とって良いかどうか」というセンテンスが表れていて、答えを注意深く探るためにいつもきちんと向き合っているという姿勢を垣間見る。

たくさんの物語の中から自分が1つだけ選ぶとしたら、マッシモ・スコラーリのドローイングにする。
どの世界にも無いような、でもとっても気持ちが良くて、美しくて、透き通るような風景の絵が1枚そこにある。
山のような、海のような、でも丘のような、そして鳥や紙飛行機のような、目の前の美しいグラデーションを持つ色に包まれていて、どこまでもどこまでも静かな風景。
ものの裏の裏まで美しいことを、いつかしたいっていう気持ちが、ぐっと上のほうに押し上げられて、少しだけ苦しくなるような感覚。
この目でそして、この絵をきちんと確かめられたら、どんなに素晴らしいだろうと、その時の私とその後の私を想像する。























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